ビルメンのルーティンワークとは?点検からよくある依頼まで徹底解説

「ビルメンの仕事って、毎日同じことの繰り返しで楽って聞いた!」

「ルーティンワークが多いって聞くけど、具体的にどんなことをするの?」

これからビルメンを目指す方や、仕事内容が気になっている方は、そんな疑問を持っているのではないでしょうか。

この記事では、ビルメンが日々こなしているルーティンワークについて、

毎日行う日常点検

毎月・毎年行う定期点検

そしてよくある依頼への対応

の3つにまとめました。

ビルメンテナンスの仕事に興味がある、就職を考えている人の参考になれば幸いです。

日常点検:ビルの「異変」を察知する毎日の点検

日常点検は、ビルメンの業務の中で「ルーティンワーク」の代表ですが、とても重要な業務です。

①建物が発する異常のサイン(異音、異臭、振動)を見逃さないこと

異常を早期の段階で直すこと

この2つが重大な事故を未然に防ぐ鍵となります。

具体的には、以下の大カテゴリー」の巡回を行います。

① 電気設備の点検

ビルは膨大な電力を消費し、複雑な配線網によって機能を維持しています。

一瞬の停電がテナントの業務停止や多大な損害を招くため、極めて高い信頼性が求められます。

点検項目主な作業内容チェックのポイント(異常の兆候)
メーター検針電流・電圧・電力量・デマンド値の記録・前日や前月との数値の乖離がないか
・電圧の値が規定の範囲に入っているか
・契約電力を超えるリスク(デマンド)はないか
キュービクル点検受変電設備の確認視覚: 見た目の異常の有無
聴覚: 異常な唸り音などがしないか
嗅覚: 焦げ臭い匂いがしないか
照明管理共用部・専有部の巡回および管球交換・球切れ(不点灯)の箇所はないか
・LEDや安定器の故障による「チラつき」はないか

② 空調設備の管理

利用者の快適性を左右する領域であり、ビルメンに届くリクエストで多いのが、「空調」です。

「暑い」「寒い」は、働く人のモチベーション・体調に直結します。

点検項目主な作業内容チェックのポイント(異常の兆候)
中央監視盤フロアの温湿度監視と設定調整・テナント内の室温が適正か(暑すぎ・寒すぎはないか)
・各機器の稼働、停止状況(スケジュール通りか)
機器点検空調機・外調機・室外機の点検・ファンを回すベルトが摩耗、スリップしていないか
・冷水と温水の温度は適切か
・モーターやファンから異常な振動、異音がしないか
熱源・冷却設備ボイラー・チラー・冷却塔の管理ボイラー: 蒸気漏れ、清缶剤の残量、水漏れはないか
チラー: 冷媒圧力や冷水の送り温度は適正か
冷却塔: 水質(薬剤管理)、ファンの異常振動

・ボイラー: 水を温めて、蒸気を作る機械
清缶剤:ボイラー内の水質を整え、故障を防ぐ専用剤
・チラー: 冷えた水を作る機械
・冷却塔: 温かい水を空気に触れさせて冷やす機械

③ 給排水設備の管理

水漏れや断水は建物の機能を停止させる重大なトラブルです。

また、飲料水の管理は法的な責任も伴います。

点検項目主な作業内容チェックのポイント(異常の兆候)
水道メーター検針受水槽・メーターの数値記録・前日と比較して異常な使用量増(漏水の疑い)はないか
残留塩素測定末端の蛇口(給水栓)での水質検査・塩素濃度が0.1mg/L以上確保されているか(法定基準)
・水の「濁り」「色」「匂い」に異常はないか
給排水ポンプ揚水・加圧ポンプの状態確認ベアリング摩耗等による異音はないか

定期点検:専門性と深いメンテナンス(月・年単位)

日常点検よりも踏み込み、機器を停止させたり分解したりして行うのが定期点検です。

これらはスケジュール管理が重要で、外部の専門業者と協力して進めることも多くあります。

空調フィルター・熱交換器の清掃

頻度:1ヶ月〜3ヶ月に1回

オフィスの天井にあるエアコンのフィルターを一枚ずつ取り外し、洗浄または吸引清掃します。

フィルターが目詰まりすると風量が落ちるだけでなく、熱交換器に負担がかかり故障の原因になります。

また、ドレンパン(結露の受け皿)にスライム状の汚れが溜まると「水漏れ」を引き起こし、テナントのOA機器を濡らしてしまう大事故に繋がるため、地味ですが重要な作業です。

消防設備点検(法定点検)

頻度:半年に1回

消防法に基づき、有資格者が点検を行います。

館内に非常放送を流したり、火災感知器に専用の加熱試験器を当てて作動確認をしたりします。

ビルメンはこれに立ち会い、テナントへの事前告知、各部屋への入室案内、不具合箇所の確認・記録などを行います。

受変電設備の月次点検

頻度:月に1回

ビルを稼働させたまま行う、毎月の定期診断です。

日常点検よりも時間をかけて、キュービクルの中を隅々まで観察します。

また、電気が流れている状態(活線状態)で、クランプを用いた「漏れ電流」の確認、サーモグラフィ等を使用した「異常発熱」の確認などを行います。

年次停電点検を待たずに解決すべき「火種の芽」を早期に発見・対処する重要な役割を担います。

受変電設備の精密点検(年次停電点検)

頻度:年に1回

ビルメンにとって最大のイベントです。

ビル全体を一時的に停電させ、普段は触れない高圧受電設備(キュービクル)の内部を清掃・点検します。

継電器(リレー)の試験や絶縁抵抗測定を行い、電気事故を未然に防ぎます。

病院やデータセンターを併設するビルでは、一つのミスも許されない緊張感の中で行われます。

基本的には点検作業自体は電気保安協会へ委託する場合が多いかと思います。
ビルメンは段取りを考え、調整業務を行います。

貯水槽・排水槽の清掃

頻度:年に1回以上

受水槽(飲み水のタンク)の内部を専門業者が清掃・消毒する際に立ち会います。

清掃後の水質検査結果を確認し、基準を満たしていることを担保します。

また、地下の汚水槽をバキュームカーで清掃する際も立ち会い、槽内のセンサーやポンプの状態を調査します。

上記は一般的な点検であり、そのほかにも、一定の圧力を超える圧力容器の場合は性能検査(労働基準監督署長または登録性能検査機関が実施)、医療ガスを扱うところであればその点検など、施設によって必要な点検が異なります。


よく依頼される業務

ルーティンワークの合間に飛び込んでくるのが、テナントからの依頼(営繕)です。

これらは予測不可能ですが、よくある依頼業務をまとめました。

「電球が切れた・照明がチラつく」

ビルメンへの依頼で最も件数が多いのが照明関連です。

単なる球切れなら良いですが、安定器の故障が原因の場合もありますので、その際は安定器の交換もしくは器具本体の交換が必要になります。

また、天井が高いエントランスなどでは、高所作業車やローリングタワーを組んで対応することもあり、安全確保のための「立会」も重要な仕事です。

「トイレが詰まった・水が止まらない」

基本的にラバーカップ(パッコン)で解消しますが、それでも解消しない場合は、便器ごと外すか、ワイヤー式の管清掃機などを使用します。

また、フラッシュバルブ(洗浄ボタン)の不具合で水が流れ続けるトラブルも多いため、部品を分解して「ピストンバルブ(トイレの洗浄水量を調整し、止める部品)」や「パッキン」などの消耗品を交換します。

これらを自前で直せるようになると、コスト削減としてオーナーからも重宝されます。

「エアコンが効かない・暑い・寒い」

まずは放射温度計等で吹き出し口の温度を実測し、正常に冷媒が循環しているかを確認します。

設定ミスなら丁寧に説明し、実際に出口温度が高い場合は「冷媒ガス不足」や「インバーターの故障」を疑い、業者手配の判断をします。

また、「吹き出し口の向きを変える」「気流を分散させる板(アシストルーバー)を取り付ける」といった工夫で解決することも多々あります。

「鍵が開かない・ドアの調子が悪い」

多くの人が出入りするビルでは、ドアのヒンジ(丁番)やドアクローザーに大きな負担がかかります。

ドアクローザーの速度調整、ネジの増し締め、潤滑剤注入などを行います。

そのほか、様々な依頼業務がありますが、ビルメンがすることは基本的に決まっています。
①現場に行って状況確認
②防災センター(ビルメン)で対応可能か、業者に依頼するのかの判断
③業者に依頼する場合は説明、日程調整、立ち会いなど

まとめ:ビルの「当たり前」を守るルーティンワーク

ビルメンテナンスの仕事は、決められた手順を繰り返すルーティンワークが多いです。

毎日同じメーターを読み、同じ設備を見て回る作業は、一見すると単調に感じるかもしれません

しかし、この「いつも通り」を確認し続けることこそが、電気・空調・水道というライフラインを止めないためには重要な仕事になります。

日々の巡回で小さな異音や漏れに気づき、月次・年次の点検で機械の寿命を延ばす。
そして、急な水漏れや電球切れといった現場の困りごとを一つずつ解消していく。

こうした地道な作業の積み重ねが、結果として建物を利用する人々の当たり前の日常を維持しています。

派手な仕事ではありませんが、着実に物事を進める力が求められる、非常に堅実な業務といえるでしょう。

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